2013年11月7日木曜日

時間の流れ

あれやこれややってる間に、一年も残りの方が少なくなって来ました。

今年は何故かピアノがよく売れました、それも続けて、本人は全く営業する気もないのですが、顧客の皆様がお客様を連れて来て下さる有様で、有り難い事です。

そんな中、ある日業者の倉庫を訪れたら、そこに山積みになったピアノの部品が….。
大抵は要らなくなったピアノプレイヤーやら、基盤関係が多いのですが、こういった部品
は再利用される事無く捨てられます。

もったいない気もするかも知れませんが、結構こういうのって溜まって来るんです。
スペースは限られてるし、置いておくだけでも負債になる。

人によっては宝の山でしょうが、捨てた方が仕事の効率が上がるものだったりします。
欲しかったら持って帰ってと言われましたが、何一つ持ち帰りませんでした。




先日続く仕事の合間に少し気分を変えようと思い久々に城ホールにライブに行って来たのですが、7年ぶりにKISSです。
高校生からですからKISSのファン歴もそれなりに長くなってますが、なぜかこのコテコテなアメリカンロックが好きで長い事聴いてます、前回の城ホールのライブも行ったのですが、あれから随分時間が過ぎました、メイクの下からでも分かる程、メンバーも年齢を重ねているのは分かりますが、この年齢でド派手なライブが成立するのもKISSならではだな〜と思います。





今回はスタンドでしたが、近年のPAと照明の進歩には目をみはるばかりです。





目が疲れる程クリアな照明ですが、ムービングヘッドの光って演出には欠かせないですね。今回ポールが上を向いて歩こうを日本語で歌ったのが意外な演出でした。
若者から、階段を杖突きながら歩く年配の方まで入り乱れての観客にKISSの長年の活動を感じました。



2013年9月6日金曜日

プサルターの自作について


随分長い間ブログもFBも更新していなかったのですが、夏の間に片手間に作っていた楽器の紹介です。
事の発端は知人からピックアップ付きのプサルターを自作するにはどうしたら良いかと言う相談を受けた所からなのですが、楽器を作った事の無い方には説明しても分かり難いと思います。面白そうだったのでとりあえず作ってみました。

一番手っ取り早いのは海外からキットを輸入して組むのが一番早いのですが、完全に自作される方の為にホームセンターで買える程度の工具で作ってみました。

まずは製材です。今回はサイドがメイプル、ピンブロックに黒檀、響板にスプルースで組んでみました。
まずはメイプル材を丸鋸盤で切り分けて行きます。




刃に安全カバーを付けていませんが、こんな使い方はしないで下さい、馴れてても指飛ばす事ありありますので。
とりあえずサクサクと切り分けます。




黒檀の角材からピンブロックの切り分けですが、かなり固い木屑が飛ぶので防塵ゴーグルは手放せません。




外で作業してたので雨が......。





楓の先端を10度でカットして合わせてます。そこに黒檀のピンブロックが入ります。
ちゃんと寸法測って製材していますが、最終現物合わせです。
ここには写真無いですが、角度はスライド丸鋸で切り出してます。




接着はタイトボンド、なんせ大量にあまってるので早く使い切らないと...。

接着する際楽器の角度に会わせて治具を作れば楽だと思います。




結構適当な接着方法ですが、タイトボンドは結構短時間でガッチリ固まってくれます。




今回採寸に使用した図面ですが、結構枚数があります。
海外の製作キットの図面を流用しましたが、全てインチサイズなのでインチサイズの図面を見慣れていないと1/16やら1/8やらやたら出て来るので換算に手こずると思います。
角度を出したスライド丸鋸が写っていますね。




前後してますがプレナーです、電動カンナ盤、これで固い材も簡単に厚みが出せます。






とりあえずフレームの接着が終わった所です。




次は響板です。スプルースの単板をプレナーで厚み調整しましたが
表板のみ少し薄くしました。今回バックにピックアップの点検口を作ろうと思ったので裏板は少し厚みを増しています。強度を出す為です。



表板の接着が終わるとサウンドホールです、今回はローゼットを入れる事に。
F字孔でも良かったのですが、個人的にはバイオリンにしか似合わないと思うので、
今回はレーザーカットしたローゼットを予め仕入れておきました。
案外安いので自分の好きな柄を選んで入れれば個性が出ます、何種類かサイズがあります。

通常は定番のドリメルのルーター使って一瞬で削る所ですが、わざわざサークルカッターで開けてみました。
センター位置だけ確実に出しておけば、後はコツコツ切り込み入れるだけです。




柔らかいスプルースとは言え電動工具使わないと結構時間がかかります。




外周とサウンドホールの線が二重に引けたらホールのみ切り落とします。



すっぽり抜けました。



後はローゼットの乗る場所を刃物で切り落として行きます。




こんな感じです。現物合わせであせらずゆっくりやって行きます。
バイオリンのパーフリングに共通した作業です。




ローゼットを試しにはめ込むと....。



こんな感じにすっぽり入ります。



高さ調整やら微調整して塗装した後接着です。



上出来です。




裏板ですが、マイクスタンドにスピーカーホルダーで固定して演奏出来るように鬼目ナットを入れています、勿論補強材も入れてます。




こんな感じでホルダー用のM5ネジが入るネジ穴が二つ。




本体に裏板を仮置した写真ですが、先にピックアップ用のジャックの取付作業をしてます。




ちなみにピックアップの点検口には蓋が入ります。
最終鬼目ナットを埋め込んでネジ止め出来るようにしました。



製作者ラベルをローゼット接着前に貼っておきます。




ヒッチピンとチューニングピンの穴を卓上ボール盤であけて本体の面取りが終わった画像です、チューニングピンは15度の角度をつけています。
結構きつい角度ですが、弦も巻き易いです。




裏側



ピックアップジャックの穴は結構大きいのでリーマーで広げました。




点検口をかなり大きく取りましたが、手を入れて作業するにはこれぐらい要ります。




最後はブリッジ材です、丸鋸で切り分けます。
ブリッジに入る3ミリの真鍮棒の溝もこの時丸鋸で切ります。



真鍮棒を入れて面取りした所です、面取りして細かいペーパー当ててやると案外奇麗な木目が出て来ます。黒檀独特です。
木材は日頃色々な製材屋さんから分けてもらっているので楽器用から建築用まで色々安い値段で引っ張って来れますが、日頃製材屋を頻繁に利用していない人は安く材料を探すのに苦労すると思います。





本体が出来上がったら好きな塗装を塗ってヒッチピン、チューニングピンをねじ込んでヒッチピンに弦の溝を彫り込んだら完成です。





ヒッチピンはルーターに切断砥石付けて削りますが、無い方は目立てヤスリでひたすら削るはめになります。ルーターなら数分で出来ます。

今回塗装は拭き漆で仕上げています、生漆塗った後でローッゼットをはめ込んでいますのでローゼットは無塗装にしました。
漆塗る際はカブレに注意しないと大変な目に会います。
しょっちゅう漆使ってるので安心してたのか、事故が.....。
今年初めてかぶれました、それも酷く。
どうも乾燥不足の漆があったみたいで磨ぎ出しした祭の粉が手袋の中まで入ってたようで、完全にまともな状態の手に戻るまで数週間かかりました。






本来あんまり生漆で楽器塗らないのですが、飴色が奇麗なので、やはり木目は奇麗に浮かび上がってくれます。って言うか実は生漆も結構余ってたので早く使い切りたかったんです。太陽の光にさえ当てなければ最強の塗料とも思えるので、今回塗る事に。
ちなみに弦はプサルター用の弦です。
チューニングピンはチェンバロ用、50本でぴったりなので発注も出荷単位と一緒で助かりました。




15度の傾きのチューニングピンです、結構角度あるように思いますが、日本のキットは角度付けてたっけ?。ピアノもピン角度は結構大事なのでこの辺りは共通だと思います。
右手の写真、ピックアップのフォーンジャックです。









裏板に入ってる斜めの線はプレナーかけた時にたまたま小石がプレートに載っていたみたいでいくつか線が入ってしまっていたのですが、試しに作った楽器なのでこれもありかなと思いそのまんま作りました。
点検口はネジを外して取り外せます。





こんな感じです。鬼目ナットを埋め込んで受けにしてます。




蓋には爪を付けてます。分かるかな?かなり適当です。






 これが小型スピーカーなんかをマイクスタンドで使う時のホルダーです。




これを付けると安定してスタンドで演奏出来ます、角度も高さも調整ききます。
それと会場行くとマイクスタンドならかなりの確率で転がってるので一番融通効きます。




弓を二本使って演奏するには必ずスタンド要るとお思いますので、試しにやって見ると面白いと思います。




ざっとこんな感じです。
今回の試作で一番気を使ったのは製作とは関係ない、漆の乾燥でした。
気温30度、湿度70〜75%キープ。
揮発したり乾燥したりで硬化する塗料でないだけに面倒ですが、仕上がりの奇麗さは
バイオリンのニスとはまた違った美しさがあります。

それ以外は素人の方でも簡単に作れると思います。
日頃バイオリンの製作してると、シックネスゲージや型紙でいちいち計りながら削り入れて行かないといけませんが、適当で出来てしまいます。
フレームに堅木使うとやっぱり張力には耐えてくれそうです。
日本で販売されているキットは合板で作ってるようなので、反って来たりもありますが、
さすがにこの材ならその心配もなさそうです。



ジャックは左手に取付ています。






こんな感じで完成しましたが、案外短時間で出来てしまいました。気合いいれたら一日で作れると思います。夏休みの工作にも良いかも。
漆の乾燥や塗りの方が何倍も時間かかりました。お陰でかぶれたし....。
これから楽器製作する方に少しでも参考になれば良いのですが。
プサルターの製作レポートでした.....。(完)