2010年3月7日日曜日

調律師の存在理由

昨日はいつも仕事させて頂いている生田幸子さんと
ベーシスト金澤英明さんのライブの仕事をして来たのですが、金澤さんのベースは凄い世界観やな〜と思いながら本番を聴いていました。
ピアノとベースのデュオって下手すると何だか味気なくなってしまうのですが、無茶苦茶暑いライブでした。
生田さんと世間話しする中で、少し調律師の存在理由が話しの中で出てきたのですが、ピアニストは表現者、
僕たち技術屋はそれを影で支える人間。
影で支える人間がいつもいい音で確かな調整していないと安心して弾けないし、良い表現は生まれて来ない。
表で表現する人間以上に実は裏側で支える人間もモチベーションを持ち続けることは難しい事で、生田さんや金澤さんのように
常に高い技術で新しい事をどんどん生み出し、挑戦してる人がいるからモチベーションを持ち続けることが出来ます。
僕たち技術者は自己満足してしまうと、そこで技術が止まってしまうし、マンネリすると全く駄目になってしまうモノです。
彼女達のような表現者がいるから、限界ぎりぎりまでいい音とタッチが追求出来ます。
それは本当はしなくてもいい事をわざわざ苦労してるだけなのかも知れませんが、その苦労や作り上げたピアノを
誰よりもよく分かってくれ、感じてくれているのがライブの音を聞いてるとよく分かります。
それを感じた時いつも思います、僕たちの仕事はあの人達にとっていかに重要かを、
調律師の存在理由を強く感じます。

僕たち技術者は言ってみれば真っ白なキャンバスを作る仕事です。
そこにピアニストが好きな色や形を描いて作品に仕上げて行きます。

そのキャンバスに自分の色を付けたがる技術者もいます、これが自分の色や!!みたいに。
若い駆け出しの技術者にもベテランで勘違いしてる人にも言える事ですが、キャンバスに先に色を塗ってしまうと
後で色つけするのが難しくなることがあります。
キャンパスがでこぼこしてても同じ。

表現者が作業し易いようにいつもどのピアノを弾いても、真っ白でしかも制作意欲が沸くような
綺麗で、描きやすいキャンバスを用意出来ればと思い日々ピアノに向かっています。

それには常に自分を追い込む必要があります。
メンタル面で自分に負けてしまうと駄目になってしまいます。
そのメンタル面を支えててくれてるのは、いつもピアニストの方が言ってくれる気持ち良く弾けたの一言だと思います。

僕はその言葉とそれ以上に生まれて来る素晴らしい演奏に支えられています。
そこには感動が常にあります。感じて動く、書いて字のごとく、僕を動かす力となっている、
音楽って凄いパワーを持っているな〜と日々感じて生活してます。

生田さん、金澤さんお疲れ様でした。
また、素晴らしい音楽を聴かせて下さいね!!

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